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一般民事事件

■不動産関係事件

[不動産関係事件における相談]
不動産に関する相談としては次のような相談があります。

・手付金を払いましたが、手付けを放棄して契約を解除出来ますか?
・建売の住宅を購入しましたが欠陥住宅のようです。契約を解除出来ますか?
・農地を購入しようと思いますがどのような点に気をつけたら良いですか?
・建物を貸しましたが家賃の不払いが続いています。明け渡してもらおうと思いますがどのような方法を取れば良いですか?
・借地を借地人が他の人に又貸ししていることが分かりました。契約を解除できますか?
・家賃の増額や減額は自由に出来るのですか。また裁判所に申し立てることも出来ますか?
・敷金は必ず返してもらえるのですか。また減額される場合や逆に増額される場合がありますか?
・土地の境界でもめています。古い昔の図面しかありません。境界を決めるにはどうしたら良いですか?
・土地を長年占有しています。時効取得で自分の所有にすることが出来ると聞きました。どのようにして所有権を移すのですか?
・土地を買いましたが不動産の登記名義を移してくれません。どうすれば登記の名義を変更できますか?

[不動産関係事件における弁護士の役割]
内容証明の送付、調停申立て、訴訟提起の選択

不動産の売買や賃貸借、あるいは不動産の登記に関する問題は民事関係事件の典型です。通常は内容証明を出して催促して履行を促したりしますが、それでも応じない場合には調停申立てを行うことが考えられます。調停は裁判所で調停委員が中に入り話し合いをします。相談者と一緒に調停での話し合いに入ることもありますし、代理人として弁護士だけが中に入ることもあります。調停の場合にも出来る限り資料を収集して調停に提出します。調停で話し合いが出来ないときには訴訟を提起するかどうかを検討することになります。
 なお、そもそも話し合いの余地がないようなときには調停ではなくて最初から訴訟を起こすことになります。

訴訟提起の場合の裁判例や文献の検討、事前の証拠の収集、証人の存在の確認等

 訴訟を起こすか否かを検討する場合、相談者の方の言い分をよく聞いたうえで、その言い分に無理がないかどうかとか、相談者が主張されることが過去の判例や文献等に照らして主張として通る可能性があるのかどうかとか、相談者の言い分を裏付けるような証拠があるのかどうか、たとえば売買契約書や賃貸借契約書のような書類だけでなく、その場に立ち会った証人がいるのか、などを詳しく聞いて事案ごとに検討したうえで訴訟を起こすか否かを決めていくことになります。

[不動産の売買]
解除

  たとえば土地の売買契約で手付金を支払い、残代金の支払いの準備をしていたが、相手方が決済の日までに履行しなかった場合、相手方に対して遅れたことによる損害賠償(遅延損害金)を請求出来ます。支払催促をして契約を解除することも出来ます。

手付放棄、倍返し

  売主が履行に着手(登記手続)する前であれば買主は手付金を放棄して契約を解消することも出来ます。売主の方でも受け取った手付金の倍額を買主に返還すれば契約を解除出来ます。

瑕疵(かし)担保責任による損害賠償、解除

  たとえば建物の売買契約をしたが、売主、買主双方に思いもよらない隠れた瑕疵があったときには契約の目的物に瑕疵があるとして損害の賠償を請求したり、売買契約の解除が出来ます。
 また建物の一部が他人の土地に食い込んでいたとか、土地の面積が実測値と違っていたとか、売主とは別の他人の土地を買ったような場合にも損害賠償請求をしたり契約を解除することが出来ます。 

農地の売買

 農地を売買するには農地法の規定により農業委員会や県知事の許可が必要です。また農地転用についても同様に許可が必要です。許可がなければ農地の所有権は移りません。ただし農地については他人の農地を占有していたような場合に、農業委員会等の許可を得ないでも20年の時効取得を主張することが出来ます。

土地の時効取得

  時効取得というのは一定の期間占有を継続した場合に、他人の不動産であっても所有権の取得を認めるものです。時効取得の要件として所有の意思が必要です。いくら他人の土地を長期間占有していても、借りた土地について時効取得することはありません。借りた土地についての占有は所有の意思による占有とは言えないからです。
  時効取得が認められるとその不動産について所有権を取得しますので、新たな所有者ということになります。元の所有者が登記移転を拒むときには時効取得を理由に所有権の登記名義の変更を求めて訴訟を提起することが出来ます。

[不動産の賃貸借]
家賃滞納の場合の方法

  家賃の滞納が続けば当然家屋の明渡しの理由になります。しかし、いくら相手方に不払いの事実があるとしても、自力救済(法律にもとづき最終的に裁判所で救済するのではなく、自分で権利の実現を図ること)は禁止されていますので、実力で借家人を追い出すことは出来ません。よって、通常は内容証明で履行を催促します。それでも支払いがないときには契約を解除して建物明渡しの調停申立てを行うとか、あるいは建物明渡しの民事訴訟を提起することになります。またこの場合、契約解除前の滞納家賃合計と、解除後の毎月の家賃相当額を建物明渡しの請求と併せて請求することが可能です。
  判決後は、滞納家賃については差押をすることも出来ます。
  判決が出ても相手方が建物明渡しに応じないときには執行官を連れて明渡しの断行の強制執行を行います。この場合にも弁護士が明渡しの場面に立ち会います。
執行官とも打ち合わせのうえ、明渡しのための段取りを行います。

借主の用法違反や又貸し

  この場合には貸主は原則として賃貸借契約を解除が可能になります。契約書にもその旨の記載があるのが普通です。ただし、契約の解除については信頼関係が破壊されたか否かという基準で契約解除権を制限するのが判例の傾向です。たとえば又貸しの場合であれば、又貸しをしたという一事で契約の解除が直ちに認められるわけではありません。相談者の事案では、どの程度の事情があれば信頼関係が破壊されたと言えるのかを事案ごとに個別に検討していくことになります。

家賃の増額、減額

 近隣の状況から家賃が不相当であると思われる場合には家賃の増額あるいは減額のために内容証明等で通知を出して相手と交渉します。協議で決まれば問題ありませんが、協議で決まらなければ家賃の増額減額をめぐって調停の申立てを行ったりそれでも決まらなければ家賃の増額や減額をめぐって訴訟を起こすことも可能です。

敷金の清算

 滞納家賃や建物のひどい損傷についての補修費用については敷金から差し引いて賃借人に返還されます。これに対して「通常損耗」(普通に生活していて出来た傷み)について賃借人負担と契約書で特約を定めている場合には、敷金から差し引いて良いかという問題については、裁判例でも判断が分かれていますので慎重に検討すべきです。
  賃貸借契約の際の契約で定められた更新料についても、更新料を定めた文言の解釈が問題となります。価格によっては無効となり、逆に返還を請求することが出来る場合もあります。

事業用定期借地権

  事業用定期借地権とは、居住用ではなくて事業のために土地を賃貸借する定期借地権のひとつです。「10年以上30年未満」と「30年以上50年未満」に区分されます。「10年以上30年未満」では、契約の更新や借地人による建物買い取り請求は認められません。「30年以上50年未満」では、契約の更新や借地人による建物買い取り請求は特約により「なし」と定めることが出来ます。いずれの場合にも契約締結時の書面は公正証書によることが必要です。
現在多くのコンビニやファミリーレストランなどが事業用定期借地権を採用していますが、契約終了後、借地人は原則建物を撤去し更地にして地主に返還しなければなりません。契約の更新が出来るか否かとか、建てた建物の買い取りの請求が出来るかどうかというようなことは、事業の事業計画に影響しますし、建物建築のために投資した金額の回収が出来るか否かにも関わる問題ですので、事業用借地権を設定するかどうかを決定する際には事前に弁護士に相談されることをお勧めします。

[不動産の登記]
移転登記の請求

  売買契約をしたが登記を移されていなければ、相手に催促して所有権の移転登記の請求を行います。相手が催促に応じない時には所有権移転登記のために訴訟を起こす必要があります。

登記の抹消請求

  自分の土地を他人が書類を偽造して登記名義を変更したような場合には、他人の登記は不実の登記ということになり、所有権移転登記の抹消を請求出来ます。
  この場合も相手が抹消に応じてくれれば良いですが、応じてくれなければ所有権移転登記の抹消を求めて訴訟を起こすことになります。
  移転登記のための委任状が偽造されていないかとか、売買契約書が偽造されていないかなどを調査する必要があります。

[土地の境界紛争]

 隣地との境界紛争は現地に杭を打っても長年の間に紛失したりしていることがあります。また図面についても残っていないことがあり、土地の境界はわかりにくいことが多いと言えます。
 また境界紛争においては所有権の範囲がどこまでかということと、長年その土地の部分を占有して自分の土地として利用していたことで時効取得が成立しないかということが問題になることがあります。土地の利用状況について相談者の方からも詳しく聴取することになります。

■貸金、売買代金、請負代金に関する問題

[貸金、売買代金<、請負代金に関する相談]

 たとえば次のような相談があります。
・友人にお金を貸したが返してくれません。返してもらうためにはどのような方法がありますか?
・知人に頼まれて連帯保証人になりましたが、知人が行方をくらましたので自分に請求が来ました。どうすればよいのですか?
・売却した土地の代金を回収出来ません。どのようたらにし回収出来ますか?
・建てた家の代金を注文主が払ってくれません。どうしたらよいのですか?
・3年前のペンキ工事代金が未回収になっています。今からでも請求できますか?

[貸金、売買代金、請負工事代金についての弁護士の役割]

 金銭の未払いに対して債権者として代金を請求する立場と、逆に請求をされる債務者の立場になることがあります。債権者からの相談のときにはどのようにしてその債権を回収するのかということを検討することになりますし、逆に債務者側から相談を受けたときにはどのようにすれば債務を免れるのか、あるいは減額が可能なのかとか、減額が無理であれば分割払いにする方法はないのかということを弁護士として検討することになります。

(債権者側からの相談)

 債権者の場合には債権回収の手段にはどのようなものがあるのかを検討します。仮差押を行うとか、支払い督促が良いかとか、調停申立が良いかとか、民事訴訟を提起すべきかなどを検討します。また民事の勝訴判決が確定しているのであれば、差押を申請するとして、どのような財産が差押可能かを検討することになります。
 また連帯保証人がついているような場合には、連帯保証人から債権回収が可能かどうかを検討することになります。
 消滅時効にかかりそうなときには、時効中断の方法を考える必要があります。

(債務者側からの相談)

 債務者の場合には、借用証があるかどうかや、その借用証は本当に自分が書いたものかどうかを確認します。また売買代金や請負工事代金などには短期の消滅時効を定めたものもありますので、短期の消滅時効の対象になるものについては消滅時効を主張します。また債務があるのがはっきりしている場合は、減額や分割払いが出来ないかを示談交渉していきます。

[売掛金や工事代金等の滞納]

 売掛金や工事代金が滞ったりした場合に、その回収をどうするかは頭の痛い問題です。代金の支払いが遅れる場合というのは、通常は相手の会社の方が資金繰りが良くないとか、経営不振に陥っている場合ですから、早めに回収しないと手形が不渡りになったり、破産手続きや個人再生手続きを申し立てられると、その回収が難しくなりますので早めに対応することが必要です。

[内容証明郵便・示談交渉]

 債権がある場合でも、最初から民事訴訟を提起するのは抵抗があるのが普通です。最初は示談交渉で債権回収を図ります。弁護士が代理人として内容証明郵便を出すことでその後の訴訟による負担等を考えて相手方が支払いに応じることもあります。

[仮差押]

 債権回収のために民事訴訟を提起しても、訴訟中に債務者が財産を処分するなどして財産がなくなり、せっかく裁判で勝訴しても意味がなかったということもあります。また破産申立てや個人再生申立てをされたりすると回収が難しくなりますので、早めに財産を保全しておく必要があります。そのために仮差押という方法があります。仮差押をしておけば、その後の判決による差押をするときに権利が保全されていますので判決後の本差押が容易です。仮差し押さえの対象としては、相手方所有の自宅や車、預貯金などがあります。

[支払督促の申立]

 民事訴訟をする前に、支払い督促という簡易な方法で申立が出来ます。
証拠を出さなくとも申立てをするだけで、裁判所から支払い督促を出してもらえます。
ただし相手方が異議を述べると通常の訴訟に移行します。

[民事訴訟]

 
 訴訟を提起した場合には、自らの主張を裏付ける証拠を収集する必要があります。
 証拠としては借用証や契約書、帳簿、領収証などがあります。場合によっては、関係者の証言やメモなども重要な証拠となることがあります。民事訴訟で勝訴すればその後は回収手続きにかかります。

[強制執行]

 民事判決をもとに相手方の財産について差押を行うことが出来ます。動産や給与債権などの債権についても差押が出来ます。不動産であれば不動産への競売申立ても可能です。

以上

■労働関係事件

[労働関係の相談]

たとえばこのような相談があります。
・決まった賃金について、経営不振を理由に払ってもらえません。払ってもらうにはどうしたら良いのですか?
・残業代を払ってもらえないのですが、支払ってもらうにはどうしたら良いですか?
・退職金の支払いを拒まれました。どうしたら良いですか?
・一方的に会社を解雇されました。やめたくありません。何か良い方法はありませんか?
・退職届を書くように言われています。どこに相談してよいのかわかりません。
・契約社員ですが契約期間の延長は出来ないのですか?

[労働事件における弁護士の役割]

 労働事件は時間が経つと既成事実化してしまい、会社側の対応も悪くなっていきますので、迅速に処理することが求められます。最初に行うことは会社に対して内容証明郵便でたとえば賃金の支払いや解雇無効を求めることです。しかし、それでも応じてもらえないときには労働基準監督署に労働斡旋の申立てや、裁判所への調停申立て、労働審判の申立て等の方法を考えることになります。また緊急性があるときには地位保全の仮処分の申立てをします。訴訟を起こすにしても、解雇の場合には職場復帰が現実問題として可能なのかということも考える必要があります。解雇無効を争うのか、損害賠償請求訴訟をするのかは個別の事情によって異なります。

[賃金不払い]

 決まった賃金について支払ってもらえないときには、会社に内容証明で催促したり、労働基準監督署に申告して正規の賃金を支払ってもらうように勧告することを求めることになります。それでも賃金の支払いに応じないときには労働斡旋の申立てや調停申立て、労働審判、訴訟の提起等まで行うこともあります。
 また会社の経営状況が悪く、緊急に支払いを求める必要があるときには賃金の仮払いを求める仮処分の申立てを行います。

[残業代の不払い]

 原則として1日8時間以上、1週で40時間を越えるときには残業代金の支払いを請求することが出来ます。残業代金は割増請求が出来るようになっています。時間外労働は通常の賃金の25%割増です。
なお休日労働は35%、深夜労働(時間午後10時~午前5時)は25%割増になります。

[退職金の不払い]

 受け取れると思っていた退職金を支払ってもらえないときにはどうしたら良いのでしょう。まずは就業規則に退職金の支給に関する規定があるかどうかを確認して下さい。
 ただし、小規模事業所の場合には就業規則そのものを従業員に開示、周知させていない場合が多くあります。また10人未満の事業所では就業規則の作成義務がなく、未作成の場合もあります。この場合には退職金が慣行として支払われていたかどうかの判断が重要です。賃金払いの場合と同様に労働基準監督署に申告することが出来ますし、斡旋申請の方法を取ることが出来ます。

[解雇]

 解雇には普通解雇、整理解雇、懲戒解雇、諭旨解雇があります。これ以外にも内定取消しや試用期間中の本採用拒否も解雇の一種です。  
 普通解雇は原則として30日前に予告するか、予告の代りに予告手当てを払わなければなりません。
 整理解雇は普通解雇の一種で、使用者の事業経営上の理由に基づく解雇のことです。
 懲戒解雇は就業規則では解雇予告をしない即時解雇に該当します。正社員の場合は、原則として退職金は全部不支給です。懲戒解雇の例としては経歴詐称、職務懈怠、業務命令拒否、職務規律違反等があります。
 諭旨解雇はまず本人から退職届を提出するよう勧告し、退職届が提出されなければ懲戒解雇とするという内容を含んだものです。

[解雇の無効]

解雇は無制限に出来るものではなく、解雇するだけの理由が必要です。理由なく解雇したりすると権利濫用による不当解雇として解雇は無効になります。
 また不当解雇に対しては損害賠償の請求が可能です。
 解雇された場合、交渉によって会社が解雇の撤回に応じることもありますが、労働審判や訴訟まで行わなければ解決しないときもあります。解雇はその人の仕事の場を失わせる行為であり、生活の糧を失わせる行為でもあります。また一旦会社を解雇されると、再就職は容易ではありません。また解雇によりローンの支払いが出来なくなったり、夫婦間がうまくいかなくなったりすることもあります。解雇というのは実に様々な問題を生じさせる行為でもあります。時間が経つほど解決が困難になりますので早めの対応が必要です。

[退職届]

 退職届は自分で会社をやめるという届出であり、解雇とは異なりますが、会社から強制されたといえるような場合に、その退職届について争うことは可能です。また、一旦提出した退職届を撤回出来るかについては、使用者(会社側))の承認があるまでは原則として撤回し得るというのが裁判例です。時間が経つと承認があったと見られやすくなります。退職の撤回を求めるのであれば、早めに対応した方が良いことは間違いありません。

■保険請求

[保険請求における相談]

 たとえば次のような相談があります。
・夫が死亡したので生命保険の請求をしましたが、告知義務違反を理由に保険の請求を拒否されました。保険請求は出来ないのですか?
・火災保険について、放火を理由に保険金の支払いを拒否されましたが、保険の請求は出来ないのですか?
・夫が自動車保険のうち人身障害補償保険に入っていました。自動車事故で夫が死亡したので保険会社に保険請求をしましたが、自殺の可能性があることを理由に支払いを拒否されました。保険請求は出来ないのですか?

[保険請求における弁護士の役割]
保険請求における約款の解釈

 家族が病気や思わぬ事故で急に亡くなったときに、遺族の方では保険に入っていたことで保険金が下りると思っていたところ、保険請求をしたら保険会社から支払いを拒否されることがあります。これは保険会社に約款があり、保険請求が拒否できる場合が定められているからです。約款は保険契約の内容を定めたものであり、保険請求が認められるかどうかは約款の定めによります。保険請求においては保険会社の約款の解釈が問題になります。約款の解釈については多くの裁判例があり、保険会社が保険請求を拒否出来るのか、それとも保険請求を認めるのかは裁判例を基に判断されます。保険請求の際にはこれらの裁判例を十分に把握した上で保険請求を行う必要があります。保険請求は請求の金額も大きいことから、保険請求が認められる場合と認められない場合とでは雲泥の差があります。

支払い拒否に関する最高裁判決の検討

 保険会社が支払いを拒否した場合には保険請求の裁判を起こすことがあります。保険の請求において支払いを拒否できない場合については、保険請求者側に有利な判断を最高裁がいくつもしていますので、これらの裁判例なども十分に念頭におく必要があります。過去の裁判例を調べたうえで保険請求を行うことは弁護士の重要な仕事の一つです。

[生命保険と損害保険、傷害保険の違い]
生命保険
生命保険の対象

・生命保険の対象は被保険者の生死です。保険金を支払わない場合とする免責事由は商法で規定しているほか、保険約款で定められています。

商法の規定による免責(法的免責事由)

 被保険者の自殺や保険契約者、保険受取人が故意に被保険者を死亡させたときなどです。
 告知義務に違反して生命保険契約をしたときにも支払いが拒否されます。 

保険約款による免責事由

 

死亡保険金

 死亡保険金については商法の規定とあまり変わりません。たとえば保険契約者が故意に被保険者を死亡させたときや保険金受取人が故意に被保険者を死亡させたときには保険会社は保険金の支払いを免れますが、商法の規定にも保険約款にも同様の規定があります。
 

災害死亡給付金

 災害死亡給付金については保険約款で商法の規定に加えて免責事由が追加されています。たとえば被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故によるときや、被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転中に生じた事故、被保険者が法令に定める酒気帯び運転をして生じた事故等についても保険約款で免責となります。

免責事由の緩和

 たとえば自殺の場合に保険約款では「保険契約から1年以内の自殺」に限って免責事由としており、免責事由が緩和されています。

損害保険
損害保険は実損払い

 損害保険は当事者の一方が「偶然なる一定の事故により」生じた損害を填補することを約するものです。損失の到来が客観的に偶然の作用するもので、その損失が金銭に換算出来るものに限られます。損害保険は偶然発生した事故の内容、程度により発生する損害がそれぞれ異なるため、「実損払い」となります。ただし傷害保険の保険金は生命保険と同じくあらかじめ決められた金額が支払われる「定額払い」です。
 損害保険には、火災保険、店舗総合保険等それぞれの損害保険の分野で合理的な算定方法により算定がなされています。
 

外来の事故

外来の事故とは、死亡や傷害の発生原因としての保険事故が外部から身体に及ぶことを意味します。被保険者の身体の内部に起因して保険事故が発生した場合には「外来の事故」と言えず、保険会社は保険金の支払いを拒むことが出来ます。
  生命保険会社の「災害割増特約付生命保険」は外来の事故が支払いの条件になっています。同様に損害保険会社の「普通傷害保険の死亡保険金」の支払い条件としても、「外来の事故」であることが支払いの条件になります。
 

外来の事故と言えるか否かの区別と具体例

 外来の事故の例としては、たとえば交通事故により脳に外傷を受け、その結果脳内出血で死亡したのであれば外来の事故です。交通事故自体で外傷はなくても、その精神的ショックで血圧が上昇し、その結果脳内出血となって死亡した場合も「外来の事故」です。これに対して持病の高血圧症から先に脳内出血し、その結果交通事故を起こし、その後死亡した場合には「外来の事故」とは認められません。

傷害保険

 傷害保険は、人が偶然の事故によって傷害を受けたことを原因として一定の保険金を支払うものです。傷害保険では人が偶然の事故によって生じた傷害の結果について保険金を支払うという意味では損害保険としての性格を有しています。しかし、支払われる保険金は実損払いではなく保険契約で定めた一定の金額です。生命保険の場合に一定の金額が定まっており、人の生死に関して一定の金額を支払われるのと同様です。傷害保険は、損害保険と生命保険の双方の性質を併せ持っています。
 

急激、偶然、外来の事故が要件

 傷害保険では被保険者が急激かつ偶然な外来の事故によってその身体に被った傷害に対して、損害保険会社は保険金を支払います。しかし被保険者の故意や自殺行為によって生じた傷害に対しては保険金を支払いません。自殺行為による死亡は偶然な事故とは言えないからです。

偶然の事故の立証責任

裁判になった場合、「偶然の事故」であることを保険請求者が証明出来れば保険金がおりますし、逆に「故意または自殺行為」によるものであることを保険会社が証明出来れば保険金の支払いを拒否出来ます。過去の判例がどのような考え方をしているのかを十分に検討したうえで立証を行う必要があります。

[火災保険]

 火災保険は偶然の火事が発生した場合に生じた損害を填補する保険であり、火災当時の建物の価値を査定して金額を算定します。火災保険は損害保険の一つです。火災保険においても約款で免責により保険請求が拒否できる場合が定められています。たとえば放火による場合には火災保険の請求は認められません。

[自動車保険人身傷害補償保険]

 自動車保険は自賠責保険と任意保険がありますが、人身傷害補償保険は任意保険に該当します。偶然の自動車事故が発生したことで自動車の運転者が死亡したときにその運転者に保険金を支払います。自動車傷害補償保険でも保険請求を請求出来るのは偶然の事故の場合ですので、裁判になった場合には偶然の事故であるかどうかの立証責任が争点になります。

■消費者問題

[消費者問題についての相談]

 たとえば次のような相談があります。
・訪問販売で英会話の教材を購入しました。解約したいのですが可能ですか?
・大学生の未成年の子どもが車の購入契約をしてローンを組んでいます。契約を解消したいのですが可能ですか?
・消費者の契約については取消しが出来ると聞きました。どのような場合に取消しが出来ますか?
・商品を購入しましたが、詐欺商法のようです。お金を返してもらえますか?



[消費者問題における弁護士の役割]

 契約は一旦行った以上、その契約を維持するのが原則です。しかし、契約をしたと言っても、騙されて契約したような場合はもちろん、強引に契約を結ぶことを要求されたり、重要な情報を提供されずして契約を結ばされた場合には、契約の解消を認めるべきです。消費者問題について法律はどのような契約をしたかによって、その契約に応じて細かい規定をおいています。訪問販売なのか通信販売なのか、それとも店頭における契約なのか等によって、法律の規定は異なります。解約や取消しの期間などについても契約の中身によってかなり細かく分類されていますので、早めに相談をして早期の対応をすることが必要です。



[クーリングオフ]

 クーリングオフというのは消費者が事業者との間で申し込み又は締結した契約を一方的にやめることが出来る制度です。たとえば、訪問販売については書面を受け取ってから8日以内です。期間内に解約通知書を発信すればよく、相手に解約通知が届くのは期限後でもかまいません。理由なしに契約をやめることが出来るという点では、大変重要な規定ですが、クーリングオフの期間が短いので、早めに対応しないと解約が出来なくなってしまいます。



[契約の取消]
[未成年者の契約]

未成年者が行った契約は、法定代理人の同意がなければ取消しが出来ます。取消は未成年者本人でも法定代理人でも出来ます。すでに代金を支払っていても、取消により代金の返還を請求出来ます。

[消費者の契約取消し]

 消費者と事業者が契約を行ったが、本来告げるべきことを告げずに契約をした場合(不実の告知と言います)には消費者契約法により消費者は契約を取り消すことが出来ます。

[不実の告知]

不実の告知の例は、たとえば、シロアリがいないのにシロアリがいると消費者に告げてシロアリ駆除の契約を結ばせた場合とか実際には黒電話が使えるのに黒電話は使えないと言って消費者に対し新たに電話機を販売する行為などです。業者から事故車ではないと口頭で確認して中古車を購入したが、後日整備に出したら事故車とわかったというような例も不実の告知と言えます。
 契約の取消しの期間は6ヶ月に制限されています。

 

[違約金と消費者契約法]

 解除の際に過大な違約金を定めたような条項は無効になります。
 消費者契約法は消費者と事業者との間において、消費者を保護するための法律です。 ここでの消費者の範囲は広く、いろいろな場面で消費者と事業者との契約が問題とされます。たとえば借家の貸主と借主との関係についても、事業者と消費者という関係となり、消費者契約法の適用が問題となることがあります。
  借家契約で家賃支払いの場合に契約を解除出来ることを定め、かつ借主に高額の違約金や遅延損害金を課すことを定めたような場合には消費者契約法の規定によって違約金や遅延損害金の定めが無効になることがあります。
 消費者契約法が適用されるかどうかによって、消費者の救済の範囲が格段に異なることがあります。



[詐欺商法に関する相談]

 詐欺商法に狙われた場合でも早めに気づいたときには、クーリングオフにより契約解除を行うことが出来ます。また詐欺商法の手口にだまされて契約をしてしまった場合には、真実を告げずに契約をしたものとして、消費者契約法により取消を主張できます。期間は6ヶ月です。さらに民法上の詐欺を理由に取消を主張することができます。民法上の詐欺を理由の取消しは時効が5年です。消費者契約法による取消し(不実の告知による取消しといいます)と詐欺による取消しとは取消しの期間が随分異なります。消費者契約法による取消(たとえば不実の告知による取消)が出来るのはどのような場合なのかについても、これまでの運用例がいくつもありますので、よく検討のうえ、取消しの主張を行う必要があります。

以上

■交通事故関係

[交通事故相談]

 交通事故にあったとき事故の内容によって様々なことが問題となります。
 たとえば次のような相談があります。
・死亡事故なのに保険会社の提示した金額があまりにも低いと思えるのですが、交渉で 増額出来ますか?
・保険の場合と裁判の場合とで金額の基準は異なるのですか。後遺症の場合や死亡事故 の場合はどうですか?
・示談した後で後遺症が発生しました。後遺症について請求出来ますか?
・後遺症の認定はどのような基準によって決められるのですか?
・被害者なのに、こちらにも過失があったとして保険会社から過失相殺を主張されまし
 たが、応じなければならないのですか?
・物損事故の場合に、相手方から代車料を請求されました。こちらの保険を使うのは納 得いかないのてすが?
 
 



[交通事故関係における弁護士の役割]
保険会社の基準と裁判の基準

保険会社が提示する賠償金は自賠責の基準に抑えた最低限度の基準です。これに対して裁判の基準はこれまでの裁判例の蓄積によって確立された基準であり、保険会社が提示する基準とは異なっており、ときには2倍近くの金額の開きがあることも少なくありません。裁判においては時間をかけて厳密な立証活動を行うことが要求されますので、裁判の基準が高くなるのは当然です。
しかし、裁判まで行わなくても弁護士が保険会社と交渉し、裁判所の基準の金額と同程度の示談を行うことも可能です。
 また保険会社との交渉の段階でも、これまでの裁判例は金額を決めるうえでも重要な要素となります。たとえば親が死亡した場合に近親者も慰謝料を請求出来ますが、死亡事故でなくても死亡事故に匹敵するような事故については慰謝料を認められます。これは裁判例で認められたものが、保険会社と示談するときの基準となった一つの例です。このような例はたくさんあります。

 

裁判例の調査と示談交渉

裁判にまでなったときに、これまでの裁判例の調査や検討をすることが弁護士にとって重要であることは言うまでもありませんが、保険会社と交渉して示談をするときにも過去の裁判例を基に、金額の増額を主張したり、依頼者の利益になるように保険会社と交渉を行うことも弁護士の重要な仕事の一つです。



[傷害についての請求]
治療費

 入院による治療及び通院による治療により病院に支払う費用です。

慰謝料

 事故によって受けた精神的苦痛についてのものであり、入院期間及び通院期間に応じて傷害慰謝料の金額が定められることになります。入通院の慰謝料は自賠責の基準に比べると裁判の基準の方が高く設定されています。

休業損害

 事故によって仕事が出来なくなったことにより収入が減った場合には、休業損害を請 求できます。
   休業損害=1日あたりの収入額(収入日額)×休業日数で計算します。
・給与所得者の場合には事故前の3ヶ月の期間の給与総額から収入を計算します。会 社からの休業証明書と源泉徴収票等が必要です。
・会社役員の場合には役員報酬額をそのまま収入とするのではなく、労務対価分がどの 程度かを考える必要があります。 
・事業所得者の場合には現実の収入減があったときに認められます。事故前1年間の所 得を基に収入を計算します。事故前年度の所得証明書が必要です。 
・主婦などの家事従事者の場合には、現実に現金収入がなくても受傷のために家事労働 に従事出来なかった期間について休業損害が認められます。
・学生は休業損害は原則として認められませんが、アルバイトをしていたときには認め られます。
・無職の人も休業損害は原則として認められませんが、就職が内定していた場合などに は認められます。

交通費

 病院の通院のためのタクシー代やバス代等の費用です。

付添看護費

 入院したために近親者が付き添った費用についての請求です。医師の指示または受傷の程度、年齢により必要があれば認められます。



[後遺症による請求]
症状固定

症状固定と言って、これ以上、治療を続けても治る見込みがないときには後遺症の請求をすることが出来ます。主治医による後遺症の診断書が必要です。  

後遺症の等級

 
後遺症にはその程度によって1級から14級まであります。たとえば両眼とも失明したような場合には1級です。頸椎に痛みやしびれがあり、それがレントゲンやMRI等の検査結果によって事故によるものであるということが客観的に証明できれば12級ですし、仮に証明できなくても14級になることがあります。 
等級の違いによって逸失利益や後遺症慰謝料等の補償金額に差が出てきます。 

逸 失 利 益

後遺症によって就労が出来なくなったことにより喪失した利益のことを言います。等級の違いによって労働能力喪失率が異なり、補償金額も異なります。
 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数(ライプニッツ係数)

・基礎収入は事故前の現実収入額によるのが通常ですが、現実の収入が賃金センサスの平均賃金を下回っているときでも将来平均賃金の収入を得られたと認められる場合には平均賃金を算定の基礎とします。
 ・労働能力喪失期間は症状固定時から就労可能年数である67才までとされます。
 ただし高齢者の場合には平均余命の2分の1の年数が労働能力喪失期間とされます。中間利息を控除するのは将来にわたって発生する収入減少を一時金に算定しなおすためのものです。
・労働能力喪失率は後遺症の等級によって異なります。たとえば1級では労働能力喪失率は100パーセントですが、14級では5パーセントにすぎません。

 

後遺症慰謝料

・後遺症が残ることによる将来における精神的苦痛についての慰謝料です。
 等級の程度によって慰謝料の金額は異なります。
・裁判所の基準は自賠責の基準とはかなり異なります。

 

(自賠責の基準)

(裁判の基準)

1級

1100万円

2800万円

2級

958万円

2370万円

3級

829万円

1990万円

4級

712万円

1670万円

5級

599万円

1400万円

6級

498万円

1180万円

7級

409万円

1000万円

8級

324万円

830万円

9級

245万円

690万円

10級

187万円

550万円

11級

135万円

420万円

12級

93万円

290万円

13級

57万円

180万円

14級

32万円

110万円

 後遺症慰謝料は事故の被害を受けた本人が請求出来るというのが原則ですが、死亡に比肩すべき(同程度の)後遺症の場合には死亡事故に準じて、近親者に慰謝料請求が認められています。

 



[死亡による請求]

 

逸失利益

  死亡しなければ得たであろう利益についての請求です。算定の方法は事故前の収入を基本として就労可能な年齢(たとえば67才)までの年数までの労働能力喪失率を計算し、また生活費を控除して計算します。

死亡による逸失利益=基礎収入×[(1-生活費控除率)×就労可能日数]に対応するライプニッツ係数
 後遺症による逸失利益の場合と異なり、死亡による逸失利益の場合には生活費を控除する点が違います。
 

慰謝料

 
 死亡による慰謝料についても自賠責の基準と裁判所の基準は金額にかなりの差があ ります。慰謝料請求については相続の対象になると判例上認められており、相続人が本人の慰謝料を相続人として請求することになります。また近親者は固有の慰謝料請求をすることも出来ます。

(自賠責の基準)

 (裁判所の基準)

死亡本人の慰謝料
350万円 遺族の慰謝料
本人の父母、配偶者及び子とし、
請求者1人の場合は550万円2人の場合は650万円 
3人の場合は750万円
本人に被扶養者がいるときには
200万円を加算
一家の支柱2800万円
母親、配偶者2400万円
その他2000万円~2200万円
ただし一応の目安であり、
本基準は具体的な斟酌事由により増減されるべきであるとされています。
(その他というのは独身の男女、子ども、幼児等を言います)
・本基準は死亡慰謝料の総額であり、死亡本人と遺族の慰謝料を含んでいます。
葬儀費用

自賠責の基準

裁判所の基準

60万円、但し立証資料等により100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費。

原則150万円、但しこれを下回る場合は実際に支出した額。



[物的損害]

 物的損害については次のような点が問題となります。
 

修理費

  物的損害としては修理費が主です。修理が相当な場合には適正修理費相当額が認められます。修理費の方が、車両の時価額(事故当時)に買替え費用を加えた金額より高くなる場合には、経済的全損として買替え費用が認められます。
 

代車使用料

 修理期間中代車を使用した場合には、代車使用料が認められます。

 



[過失相殺]

 交通事故の被害者側にも過失があった場合には過失相殺として相殺の対象になり加害者と被害者との過失割合によって賠償額が減額されます。被害者が信号を無視したり、交通法規を無視したりするなどの過失があった場合です。過失割合の基準については事故状況に応じて、かなり詳細にその割合が決められていますので、実際の事故がどのような過失割合になるのかについて検討し、主張する必要があります。
 なお自賠責保険による被害者請求の場合には被害者に重過失がなければ過失相殺されることはなく、通常は過失相殺の対象にはなりません。



[自転車事故]

 自転車保険をつけている場合には保険の適用になりますが、保険をつけていない場合には直接加害者に対して賠償請求をすることが出来ます。人損・物損のいずれにおいても同様です。自転車による加害者が未成年者の場合には親権者である親を相手に示談交渉をします。示談がまとまらないときには調停申立て、訴訟提起という方法を取ります。また子の責任能力や親の監督義務違反が問題となることがあります。



[弁護士保険]

 自動車保険の約款に弁護士保険の特約がついているときには弁護士費用について保険でまかなうことが出来ます。加入している保険の特約条項をご確認下さい。

■医療事件

[医療相談]

 医療相談としては次のような相談があります。
・検査入院で父親が亡くなったのですが、納得いきません。病院の責任を問うことが出来ますか?
・高齢の親が入院中に発熱しました。担当の医師に異常を訴えたのですが、風邪でしょうということで検査はされませんでした。ところが実際には重い感染症であり、その後死亡してしまいました。担当医師の責任は問えないのですか?
・手術の結果、下半身が麻痺して全く動けなくなりました。後遺症についての慰謝料を請求出来ますか?
・手術のリスクについて十分に説明がないまま手術を受けました。結果は前より悪化してしまいました。悪化する可能性があるのであれば手術は選択しなかったと思います。病院に対して説明義務違反を問えますか?



[医療過誤と弁護士の役割]
医療過誤事件の特質

  医療事故が発生した場合、患者が死亡したり、重篤な後遺症が残るなど深刻な事態を生じさせることが多いと言えます。しかし、医師あるいは病院の責任を問うためには、医師の側に責任があることが前提であり、医療過誤(医療ミス)と言える必要があります。医療行為と患者に発生した結果との間に因果関係があること、病院側に過失(注意義務違反)があることが必要です。医療事件は医療行為の過程で患者に生じた結果に対して責任を問うものであり、医療の現場で何が起きたのか、どうしてそのような結果が生じたのか分からない中で、責任を追及するものです。いわば密室の中でのやりとりをカルテや関係者の証言を基に医療行為にミスがあったとして争うわけですから、病院側の過失の立証は容易ではなく患者側の労力も大変なものがあります。



[カルテの開示]

 医療過誤による責任を問題とする場合には、最初は医療相談からということになります。しかし、医療相談を受けただけでは、果たして病院側の責任を問えるかについて直ちには判断出来ません。医療行為の過程でどのようなことが起きたのかについてカルテ等の資料の収集が必要です。裁判所に証拠保全の申立てを行うことによって、カルテ類や看護記録、レントゲン写真等の一切の資料情報を得ることが出来ます。ただし最近は病院側にカルテ類についての開示が義務づけられ、証拠保全までしなくても開示請求をすればカルテ類の開示がなされるようになってきています。



[医療問題検討会による検討 協力医]

 資料を収集したら、次にはその内容がどのような記載になっているかを検討します。カルテ等には医療専門用語が使われていますので、その医療専門用語の読解から始めなければなりません。また患者側は医療行為については素人ですので、協力医等のアドバイスを受けながら、責任を問うことの可否を検討していくことになります。当事務所では医療相談を受けたときには、毎月行っている医療問題研究会に持ち込み、協力医や他の会員弁護士からも意見を聞き、さらに医学文献や過去の医療事故の裁判例を参考にしながら検討していきます。



[示談交渉・調停申立]

 以上のような経過を経て、確かに医療過誤の疑いがあれば、まずは示談交渉を行います。病院側が示談交渉に応じないときには、話し合いのための調停申立てを行うこともあります。



[民事訴訟]

 示談や調停で合意が出来なければ、医療過誤の民事訴訟を提起することになります。訴訟においては、カルテや看護記録などの記載から医師や看護師の処置や経過を読み取る作業等を通じて、対応にミスがあったことを主張していくことになります。なされるべき処置がなされていなかったり、投薬や処置の選択を誤ったり、処置の失敗等と病状が悪化したこととの因果関係を証明するために、大学病院や医学部教授等に鑑定書の作成を依頼したり鑑定人尋問も行います。本人や遺族からの聞き取りや打ち合わせも、十分に時間をかけて、医療行為の前後にわたって何かあったのかを明らかにしていきます。
以上


家事事件

■離婚問題

[離婚相談]

 離婚に関する相談もさまざまなものがあります。たとえば
・離婚したいのですが相手が親権を主張して離婚に応じてくれません。それでも離婚できますか?
・離婚には同意しているのですが養育費や慰謝料の話がついていません。このような場合でも離婚はできるのですか?
・離婚届を出して離婚が成立しました。後からでも養育費や財産分与を請求できますか?
・離婚調停はどのようにして行われるのですか?
・離婚調停で弁護士に頼んだ方が良い場合というのはどういう場合ですか?
・夫の不貞により離婚することになりました。慰謝料が確実に取れるようにするにはどうしたら良いでしょうか?
・養育費を払うという約束をしましたが、支払いが滞っています。支払ってもらうにはどうしたら良いですか?
・住宅ローンのついた家があるのですが、財産分与の対象になるのですか?
・不動産も預貯金も全部、夫名義になっていますが財産分与を主張できますか?
・財産分与について妻はどれ位の割合を主張できるのですか?
・夫の不貞について相手の女性からも慰謝料が取れますか?
・年金分割を主張したいのですが、どれ位の年金を受け取れるのですか?
・夫のDVが怖いので、直接話をしないで離婚したいのですが、どうしたら良いのですか?
・離婚協議中に夫が子どもを無理やり連れ去ってしまいました。子どもを取り戻すにはどうしたらよいですか?



[離婚問題における弁護士の役割]

 

冷静な対応の必要性

  夫婦関係は愛情を基本とするだけに、夫婦関係が破綻して離婚問題になったときには憎悪や憎しみが先行して、冷静な話し合いが出来ないことが少なくありません。感情が先行するため離婚問題では理性的な判断が難しいという面があります。
 そのようなときには、弁護士が仲に入って、冷静に協議した方がうまくいきます。
 

離婚と金銭問題の解決

  夫婦の破綻の原因は様々な要因が考えられますが、離婚の問題には金銭問題が背後にある場合が大半です。たとえば借金問題や、生活費を家計に入れないというようなことがきっかけで夫婦関係がこじれていくことはよくあります。また離婚の際には子どもの養育費や慰謝料、財産分与など決めなければならないことがたくさんあります。後で後悔したり、不利益を被ったりしないように十分に検討して主張していくことが大切です。相手も自分の主張をしてきますから、どのような主張をすると相談者の方に有利になるかを、判例や文献等をもとに考えていくことになります。個々の事案によって対応が違いますので、まずは弁護士に相談してみることをお勧めします。
      



[離婚の方法]

 

協議離婚

  双方の離婚の意思がはっきりしている場合、離婚用紙に署名して印鑑を押し、未成年の子の親権者を決めれば離婚は出来ます。養育費や財産分与、慰謝料については離婚の際に必ず決めておかなければならないものではありませんが、離婚が成立してしまうと金銭的な問題は当事者の任意の話し合いでは困難な場合が多いので、離婚の前に決めておいた方が良いでしょう。

 

調停離婚

  離婚の合意が出来ない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。調停委員が中に入って双方の意見を聞き、話合いを行います。離婚調停では慰謝料や財産分与も併せて請求することが出来ます。親権や慰謝料の金額、財産分与の割合など意見が対立する場合も多く、調停が長引いたり、不調に終わることもあります。調停の場合でも弁護士が代理人として入ったり、また相談者と一緒に入ることも出来ます。
  
 

裁判離婚

  調停が不調に終わった場合、裁判で離婚請求することが出来ます。裁判離婚では離婚理由が法律で定まっており、離婚理由が存在するか否かについて、裁判所が証拠に基づいて判断することになります。よって、いくら離婚を訴えられた方が離婚はしないと言い張っても、法律上の離婚理由に該当する事由があると判断されれば、離婚は成立してしまうことになります。逆に法律上の離婚理由は存在しないと判断されれば、離婚は成立しません。離婚理由としては、①不貞行為、②高度の精神病、③3年以上の生死不明、④悪意の遺棄、⑤婚姻を継続し難い重大な事由などが定められています。
  ⑤の婚姻を継続し難い重大な事由というのは抽象的な定めになっており、裁判ではどのような事情があれば婚姻を継続し難い重大な事由に該当するのか、ということが問題となることが多いと言えます。内容としては①性格の不一致②長期の別居③セックスレスまたは夫婦交渉の拒否④多額の借金⑤生活費を家計に入れないあるいは仕事をしないこと⑥暴力などがあります。さらに⑦夫婦関係が破綻しているかどうかも問題となります。
  また、自ら不貞行為を行っておきながら離婚訴訟を起こせるかという、いわゆる有責配偶者の離婚請求の可否も問題となります。この点については最高裁の判例もあり、事案に即して慎重に検討すべき問題です。



[養育費]

 
 

養育費の不払いと給与の差押

  未成年の子がいる場合には養育費の請求が出来ます。養育費は毎月支払うものであり、まとめて一度に支払うものではありません。協議離婚の場合、毎月の支払いを合意書(示談書)で定めていても、支払いを怠ったときには合意書だけでは差押をする権限まではありません。改めて調停を起こすか、あるいは合意書に基づいて裁判を起こして判決を取らなければ差押は出来ません。
  調停離婚で養育費の支払いを定めておけば、調停調書には差押をする権限まで与えられていますので、給与の2分の1まで差押が可能です。また、養育費の差押は一旦支払いを怠れば、将来の分についても差押が可能ですので、遅れた分についてその都度差押をする必要はありません。
 

公正証書による養育費の差押

 
  但し協議離婚の場合でも公正証書で養育費の支払義務を定めておけば、不払いの場合に差押が可能です。公正証書は公証人役場で作成する必要があり、原則妻と夫の立会いが必要です。弁護士が代理人として立ち会って公正証書を作成することも出来ます。



[慰謝料]

 

離婚と慰謝料

 
  慰謝料は婚姻関係を破綻させた原因行為を行った方が相手方に対して負担するものです。ですから離婚イコール慰謝料支払義務が発生するわけではありません。配偶者の不貞行為に対しては離婚請求と併せて離婚にともなう慰謝料を請求するのが一般的です。
 

不貞行為の相手に対する慰謝料請求

  また離婚をしなくても、不貞行為の相手方に慰謝料を請求することが出来ます。なお慰謝料請求は3年間で消滅時効になりますので、この点も注意が必要です。



[財産分与]

 

夫名義の財産についての財産分与

 
  婚姻中に得た財産は共有財産ですので、離婚する場合には財産分与を求めることが出来ます。対象となる財産は通常は預貯金や不動産ですが、誰の名義であるかは関係ありません。たとえば預貯金や不動産の名義を全部夫の名義にしていても、妻には原則として2分の1について財産分与を請求出来ます。また妻が婚姻前に貯めていた預貯金や自宅を建築するに当たり、妻が実家から出してもらった住宅資金などは妻の特有財産として財産分与から外されます。なお財産分与についても離婚から2年以内に行う必要があります。
  
 

住宅ローンと自宅の財産分与

  自宅を建てたときに多額の住宅ローンが残っている場合に、財産分与の対象となるかという問題があります。自宅の資産評価が住宅ローンより低ければ財産分与すべき財産はないと考えられます。自宅の資産評価は固定資産評価額で計算するのが一般的です。
  
 



[年金分割]

 

離婚の年金分割(合意分割と第3号分割)

  離婚の年金分割には①年金を合意により分割する制度(合意分割)と②第3号被保険者期間に関する分割制度(第3号分割)があります。
  合意分割は平成19年4月以降の離婚だけが対象になります。平成20年4月以降は第3号分割も主張できますので、2種類の年金分割制度を主張できることになりました。
  離婚分割の年金は厚生年金、共済年金のみに影響し、国民年金には影響しません。

 

(合意分割)の場合

  離婚分割の対象期間となる夫が納付してきた報酬の総額と妻が納付してきた報酬の総額を計算し、当事者の合意で受け取る側の割合を決めるものです。上限は2分の1です。
双方が厚生年金(共済年金)に加入していた期間を含みます。
 

(第3号分割)の場合

 平成20年4月以降に離婚したとき。自動的に2分の1(請求は必要)が分割されます。 第3号分割で分割されるのは、サラリーマンなどの妻である第3号被保険者の期間だけで、夫婦とも働いて厚生年金や共済年金に加入する期間は対象になりません。
第3号被保険者だった期間の厚生年金(共済年金)に加入していた標準報酬額です。
 

年金分割の受給の時期、受給期間

  年金を受け取る側(妻)は夫が掛けてきた厚生年金の一部を自分が掛けてきたものとして上乗せされますが、自分自身が年金を受給出来る年齢になるまで、受け取ることが出来ません。また離婚分割の年金を受給するにしても老齢基礎年金の受給期間は満たしている必要があります。



[面接交渉権]

 離婚により相手方が親権者となった場合でも、親権を有しない親は子供との面接交渉権があります。合意によって離婚後の面接を取り決めることも出来ますが、離婚の相手方が面接に消極的な場合、約束が守られないことも多く、調停の場で面接交渉について取り決めをしておく方が面接できる可能性が高くなります。



[婚姻費用分担]

 離婚調停や離婚訴訟を起こしても、離婚が成立するまでには時間がかかります。離婚が成立するまでの間の生活費を婚姻費用分担として受けられるかどうかは、納得いくまで調停の話し合いや離婚訴訟の主張が出来るかとも大きく関連しています。離婚調停や離婚訴訟が長引くことが予想される場合には離婚調停と一緒に婚姻費用分担についての調停も申し立てられた方が良いでしょう。



[配偶者のDV・子どもの連れ去りについて]

 

配偶者DV

  配偶者の暴力がある場合、妻は離婚調停や訴訟とは別に保護命令の申立てを行って、配偶者からの暴力を回避することが出来ます。
  本人だけで対応するのが恐いとか、配偶者に居場所を知られたくないというような問題が必ずといってよいほど発生します。相談があれば弁護士が代理人として保護命令の申立てを行うことが出来ますので、問題が深刻になる前に相談されることをお勧めします。
 
 

子どもの連れ去り

  離婚調停中あるいは離婚訴訟中に、配偶者や祖父母が強引に幼い子供を連れ去って行くという例があります。この場合にも調停あるいは審判で子の取り戻しを要求できます。実力で取り戻したりすると逆に刑事事件として訴えられたりしますし、国際結婚の場合などには専門的な知識が必要とされますのでどのような方法を取るのか、慎重に対応すべきです。



[離縁、協議離縁、調停離縁、裁判離縁]

  養子縁組を解消するためには、①協議で離縁する、②調停で離縁する、③裁判で離縁する、という方法があり、この点は離婚と同様です。
  協議離縁、調停離縁は、養子と養親との合意で離縁するものです。
  裁判離縁の場合には離縁の事由が定められており、他方の当事者がどうしても離縁しないというときには離縁の事由に該当しなければ離縁は出来ません。離縁事由として、たとえば養子が高齢の養父を虐待するというような事由があれば離縁は可能です。

 

単独離縁

 縁組の当事者の一方が死亡した後に、生存配偶者が離縁しようとするときには、家庭裁判所の許可を得て離縁することが出来ます。この場合には家庭裁判所の許可書を添えて、養子や養親だけで届出ることによって行うことが出来ます。


■相続、遺言

[相続問題についての相談]

 相続問題では次のような相談がよくあります。
・遺産の分け方で相続人間で話し合いがつかないのですが、どうしたらよいですか?・生前贈与を受けた相続人がいるのですが、相続分から差し引くのですか?
・長女が親の介護と称して生前に親の預貯金を勝手に引き出していました。その後親が亡くなりましたが、預貯金は元に戻せないのですか?
・遺産として親の家・土地しか残っていません。兄は親と一緒に住んでいたのですが、自分は県外に住んでいます。遺産の分け方として兄に全部与えて、自分には相続分相当について代りに金銭を受け取ることが出来ますか?
・長男としてこれまで家業である事業を大きくして財産形成に寄与してきましたが、他の兄弟と相続分は全く同じなのですか?
・相続財産に貸家があります。遺産には貸家だけでなく、家賃収入も入るのですか。長男が家賃を独り占めしていますが平等に分けられないのですか?
・生命保険金が入ったのですが、相続の対象になりますか?
・遺言書を書きたいのですが、どうしたらよいのですか。遺言書を弁護士に預かってもらい、亡くなった後に相続の協議に入ってもらいたいのですが出来ますか?
・遺言書を開いたら子どもではなくて、姪に全財産を与えるという内容でした。相続人として遺産について姪から取り戻しができないのですか?
・借金の方がはるかに多いので相続を放棄したいのですが、どのようにして放棄をするのですか?
 



[相続問題における弁護士の役割]

 

相続問題の難しさ

相続問題は誰にでもいつかは発生する問題です。これまで仲の良かった子や兄弟姉妹が相続の発生を機に、骨肉の争いになることもあります。法律では相続分として子どもは均等と定めていますので、基本的には法定の相続分が紛争の解決の基準となります。しかし、法律の基準どおりにはいかないところが、相続問題の難しいところです。相続問題では親の家業の後を継いだとか、同居していたとか、介護の問題とか、生前に贈与を受けたとか、お墓や供養の問題まで発生します。単純に均等に分割とはいかない場合が多いからです。

生前贈与や寄与の問題

たとえば自分は親の面倒を見てきたが、弟は親のことには関心がなく妻の実家の方とばかり付き合ってきたとか、自分は学校を出てすぐ仕事に就いて長年苦労してきたのに、弟は私立の大学に行かせてもらい、家を建ててもらったとか、家族ごとに事情は異なります。また家族についても、相続人ごとにいろいろな事情があるのが一般です。

弁護士が仲に入ることで冷静な判断を

そして、家族は肉親の愛情をもとに人間関係が形成されてきただけに、すれ違いや誤解などがもとで、感情的な対立にまで発展することがよくあります。弁護士が仲に入ることによって冷静な対応が可能になります。

裁判(審判)例の集積の必要

また遺産の中には相続の対象になるのかどうかわからないものもあります。これらについては裁判(審判)例の集積がありますので、これらについても弁護士の方で調査することが出来ます。生前贈与に該当するかどうかの裁判例や寄与が認められる場合とはどういう場合か、寄与の割合はどれ位認められるのかなど実際の裁判(審判)例や文献を基に検討していくことになります。



[相続財産の事例]

 遺産の中で相続財産かどうかが問題となるものがあります。相続財産に含まれるか否かで本人の取得金額が大きく異なることがあります。相続財産に該当するかどうか問題になる例をいくつかあげます。
 

(1)生命保険

  一般的には受取人を指定していた場合には相続財産に該当しません。但し相続財産に該当しないとしても特別受益の対象になる場合もあります。
 

(2)死亡退職金

  受取人の範囲が法律によりあるいは就業規則等によって定められているため、相続財産にならないと考えられます。受取人は固有の権利として退職金を取得することができます。
 

(3)遺族給付(年金)

  受給資格が定められているため、一般的には相続財産には含まれません。
 

(4)償請求権

  交通事故による自賠責保険、任意保険金については、相続財産と考えられます。

(5)株式や有限会社の持分、農地の相続、借地借家権、負債、保証人の責任

  これらについても相続財産と考えられています。但し保証人の責任については判例で相続人の責任があまりにも過重になるのを避けるため責任を限定すべきであるとしています。



[相続と税金]

 

相続税

相続が発生した場合、どれ位の相続税を支払うべきかが問題となります。相続税においては配偶者控除等でかなりの減税がはかられています。相続税の対象になるか贈与税の対象になるかでは税額は大きく異なります。また相続後に売却すると譲渡税も発生します。

夫婦間の居住用財産の贈与税の特例

 
婚姻期間が20年以上の夫婦間では2000万円までは居住用財産を生前贈与しても配偶者控除出来ます。相続と税金の問題は決して無視できない重要な問題です。



[遺産分割]

 

遺産分割協議

  相続人の全員で相続財産についてどのように取得するかを決めることを遺産分割協議と言います。法定相続分とは異なる財産の分割も出来ます。たとえば残った親の面倒を見る兄弟に法定相続分より多く分割することも可能です。遺産分割協議が成立すれば、親の不動産の名義を相続人の名義に変更することが出来ます。まずはどの範囲の財産が相続財産なのかを確定するのが最初の作業です。遺産分割の協議を行う前に遺言書が見つかったり、生前贈与がなされていた場合には協議が難航する場合があります。弁護士は相続人の代理人として遺産分割の協議に参加することが出来ます。
 
 

遺産分割調停

  相続人間の協議では遺産分割協議が成り立たないときには、家庭裁判所に遺産分割の調停の申立てを行うことになります。遺産分割調停では、遺産の範囲の確定や生前贈与などの特別の受益を受けたかどうかや遺産の評価額を確定します。そのうえで相続人の法律上の権利を主張していきます。
 
 

遺産分割の協議の方法

 遺産分割は実際にある財産を分けるのが原則です。それでは相続財産が居住用の自宅しかない場合に複数の相続人がいる時はどうしたら良いのでしょうか。このような時には相続分を現物に換えて金銭で取得するという方法があります。つまり不動産を取得する相続人が他の相続人の相続割合分を買い取ることによって遺産の分割を行うのです。この方法は相続人全員の合意が必要です。
 他の方法として不動産を売却して、それを相続人間でお金で分けるという方法もあります。この場合譲渡代金について税金の問題が発生しますので注意が必要です。
 
 

遺産分割の審判

  遺産分割調停でも分割方法が定まらないときには審判で分割を行うことになります。この場合にも自分たちの主張をきちんと法律的に構成して書面で主張していく必要があります。審判の結果に不服であるときには抗告申立てが出来ます。



[遺言書作成]

 遺言は一般的には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言も公正証書遺言も、その効力は全く変わりありません。遺言書が存在するときは法定相続分よりも遺言書の内容の方が優先します。 

自筆証書遺言

 自筆証書遺言は遺言者が①全文自分で書く②日付けを記載する③名前を記載する④印鑑を押捺することが必要な遺言です。遺言は形式を満たさないと無効になりますので、弁護士に相談してから作成することをお勧めします。実際には事務所に来所いただき相談しながら作成することになります。また入院中などで来所出来ない場合に弁護士が出向いて作成のお手伝いをします。
  

公正証書遺言

 公証人役場で作成する遺言であり、証人2人が必要です。公正証書遺言の場合にもどのような遺言書の内容にするのかは事前に検討しておかれることをお勧めします。
 



[遺言書の保管]

 自筆証書遺言を作成した後、遺言書を弁護士の側で預かることも出来ます。遺言者が亡くなるまで遺言書の保管を継続します。
遺言者が亡くなったことが判明したときには、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てを行います。検認を済ませると具体的に登記手続を行ったり預金の払い戻しを行うことが可能になります。 



[遺言執行者]

 遺言書には遺言執行者を定めておくと、その後の遺言執行がスムーズに行われます。自筆証書遺言でも公正証書遺言でも、どちらも遺言執行者として弁護士を指定出来ます。たとえば遺言書で「長男に家、土地を与える」となっていたときには、弁護士が遺言執行者になっていれば、弁護士が登記名義を変更する手続きを行います。預貯金についても同様です。遺言執行者が預貯金を払い戻し、遺言書の内容に従って預貯金を配分することになります。このように遺言書の作成や保管だけでなく遺言書に遺言執行者を定めておくと、以後の手続きがスムーズに行きますので安心です。
  



[遺留分]
子の遺留分の権利は相続分の2分の1

 たとえば被相続人が、遺産の全部を相続人の中の1人にだけ相続させるという遺言書を作成して死亡したとします。この場合でも他の相続人には遺留分の権利があります。たとえば子の遺留分は相続分の2分の1です。

遺留分による減殺(取り戻し)

遺言によって他の人に登記が移ってしまった場合でも、遺留分を侵害された相続人は、侵害された財産を取り戻すことが出来ます。ただし遺留分の権利の主張は、自分の遺留分が侵害されているということを知ってから1年以内に権利行使しないと消滅し、以降は取り戻しが出来なくなります。遺留分減殺(取り戻し)の方法についても内容証明を出したうえで示談交渉するのか、それとも調停を行うのか、さらには裁判までするのかは御相談下さい。



[特別受益]

 生前贈与を受けた時は特別受益として相続財産の前渡しと見なされます。
遺産分割の協議のときや遺産分割の調停で相手方の特別受益を主張すれば、具体的な相続分にも影響を与えます。家を建ててもらったとか、借金の肩代わりをしてもらったことがある、などは特別受益にあたります。



[寄与分]

 生前、相続財産の形成維持に寄与したと評価できれば寄与分が認められます。家業をを継いだ相続人がその後事業を拡大した場合などがそれにあたります。
 どのような場合に寄与が認められるかについては裁判所の審判例等による集積があります。また寄与分の割合についても同様です。



[相続放棄]
相続放棄の3ヶ月の期間の起算点

 遺産のうち借金の方が多いときには、相続人は相続放棄を行うことが出来ます。相続放棄は、被相続人が死亡したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てをしなければなりません。遠方にいたり音信不通になっていたため、親の死亡について何年も知らなかったということもないわけではありません。また何代も前の相続であったり、遠縁であるために、自分が相続人であるということを知らなかったということもありま
す。極端には相続が発生して何十年経過しても、自分が相続人であることを知らなかったということもないではありません。その場合にも相続放棄は可能です。
相続放棄の申立てが家庭裁判所で受理されると、その申立人は相続放棄によりはじめから相続人にならなかったものとみなされます。子どもが相続放棄しても、祖父母や兄弟が相続人になります。この場合は相続人全員が相続放棄をする必要が出てきます。なお、借金だけ放棄して財産は相続するということは出来ませんので、注意してください。

法定単純承認

また、相続財産を一部処分したりすると、相続放棄が認められないことがあります。これを法定単純承認と言います。相続財産については軽率な行動を取らないようにしないと思わぬ不利益を被ることがあります。



[限定承認]

 限定承認といって負債の限度で積極財産を相続するという方法もあります。
借金があるのかどうかが分からないので、限定承認の申立てを行ってみて、債権者が本当に出てくるかどうかを裁判所を介して調査してもらいます。
相続によって借金の方が多くなる場合もありますので、単純に相続したりすると負債の方が多かった場合には不利益となります。他方、相続放棄をしてしまうと、借金だけでなく財産すべてを相続できなくなりますので、結果的に財産の方が多かったような場合には相続放棄をしなければ良かったということになるかもしれません。
 そこで、限定承認の申立てをしておけば、結果的には借金の方が多くても、借金の限度でしか相続しないことになりますので、不利益はありません。
他方、限定承認の手続きをしたが借金が出てこなければ、現にある財産をそのまま相続すれば良いことになります。

以上

高齢者の財産管理問題

■高齢者の財産管理についての法律相談

 たとえばこのような相談があります。
・高齢の親が認知症です。長男夫婦が親の介護費用と称しての預貯金をどんどん取り崩していますが、長男夫婦が勝手に使っているように思えます。このままでは親の財産がなくなりそうです。何か対策はありませんか?
・1人暮らしの父親が最近アルツハイマーと診断されました。判断能力がないとまで言えるか疑問ですが、高齢者を狙った詐欺に遭わないか心配です。何か方法はありませんか?



高齢者の財産管理における弁護士の役割 (成年後見人・保佐人)
成年後見人

 高齢者の財産管理の問題は身内にとって悩ましい問題です。判断能力が衰えていく親の財産管理をめぐって複数の子どもたちの間でトラブルが起きることも少なくありません。介護の大変さや離れて暮らす兄弟との意見の食い違いが、その後の遺産争いにつながったりします。一番身近にいて親身になって世話をした身内が思わぬ疑いをかけられて嫌な思いをしないように、遠方で働く子どもが離れていても心配しなくてすむように成年後見人という制度があります。成年後見人は預貯金の管理や現金の出し入れ、医療費の支払いや役所への書類提出などを行います。弁護士が成年後見人として裁判所の監督の下で財産管理を行う場合、定期的に裁判所に財産管理の状況について報告書を提出しますので、中立性や公正さを保つことが出来ます。

保佐人

 成年後見人の選任が必要なほど判断能力が劣っていないときには、保佐人を選任することも出来ます。保佐人が選任されると、被保佐人が不動産を処分したり、ローンを組んだりするときには保佐人の同意が必要です。保佐人の同意を得ないで行った行為は取り消すことが出来ます。弁護士も家庭裁判所から選任されて保佐人になることが出来ます。
 



任意後見契約
任意後見契約の意義

 現在は判断能力があっても、今後高齢化にともなって判断能力が劣ってくることを見越して、親族や弁護士を任意後見人として予め契約で定めておくことが出来ます。これを任意後見契約と言います。法定後見人は本人の意思を尊重しながら本人を保護することを目的とするものです。しかし法定後見人の場合は、本人が信頼するものが成年後見人に選任されるとは限らないことや、成年後見人の代理権の範囲等が基本的に法定されていること、本人の意思が関与しないところで後見事務が行われるおそれが残されていること等の課題があります。任意後見契約は本人が実際に精神上の障害により事理を弁識する能力がが不十分になったときに任意後見人の予定者である任意後見受任者は任意後見人となり、委託された内容に従って本人のために本人の療養監護、財産管理等に関する事務を行うことになります。任意後見契約は本人の意思の尊重、自己決定権の尊重という成年後見制度の理念を徹底したものです。任意後見契約は公正証書で定める必要があります。報酬も当事者間の話し合いで決めます。

任意後見人と任意後見監督人の関係

 本人、本人の配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者は家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求し、家庭裁判所か後見監督人を選任したときに任意後見契約の効力が発生します。
任意後見監督人は任意後見人に事務の報告を求めたり、本人の財産状況を調査することが出来ます。家庭裁判所は、任意後見監督人に報告を求めたり、本人の財産状況の調査を命じることも出来ます。また任意後見人を解任することも出来ますし、成年後見人を終了させることも出来ます。



財産管理契約
財産管理契約の意義

 任意後見契約も契約によって財産管理を委任する方法ですが、任意後見が開始するのは本人の判断能力が減退した場合に限られます。このため高齢であるとか身体に障害があるというだけで、判断能力の減退がない場合には、法定後見も任意後見も利用できません。そこで、そのような場合には信頼できる人や団体と財産管理契約を結ぶことにより財産を管理してもらうという方法があります。財産管理契約では本人と受任者(財産管理をする人)とで管理の範囲や内容を自由に定めて管理を依頼することが出来ます。
報酬等の定めは当事者の話合いで決めることになります。

財産管理契約の例

 財産管理契約では委任出来る範囲は任意後見契約よりも広がります。たとえば生活費を届けることや施設入居後に空き家となった自宅の監視、本人の見守りなどを委任することも出来ます。
 弁護士等の専門家を受任者としておけば、万一本人が不当な契約を締結させられたような場合でも特定商取引法や消費者契約法の活用などにより、速やかに被害回復の法的処理を行うことが可能になります。


多重債務・借金問題

■多重債務、借金問題に関する法律相談

 たとえば次のような相談があります。
・サラ金会社数社からお金を借りたが支払が出来ません。職場に取り立てに来たりすると困るのですが、どうしたら良いのですか?
・これまで5年以上高い利息を支払って来ましたが、まだ支払いが残っています。今後も支払いを続けなければならないのですか?
・過払いのときには返還を請求できると聞きました。どれくらい返してもらえるのでしょうか?
・3年前に完済しています。今からでも過払の返還請求が出来ますか?
・自己破産の申立をしたいのですが、破産すると会社をやめなければならないのですか?
・パチンコで借金が増えたので自己破産を考えていますが、破産できますか?
・サラ金会社以外にも住宅ローンが残っているのですが、破産したら自宅を手放さないといけませんか?
・自己破産ではなくて、大幅に借金をカットしてでも支払いをしたいのですが、どのような方法がありますか?



[多重債務・借金問題についての弁護士の役割]
自己破産、任意整理、個人再生の選択

 多重債務の相談を弁護士が受けたときには、相談者にとってどのような方法をとるのが一番良い方法なのかを検討するということが最初に行うべきことです。どの方法を選択するかによって、以降の支払額も違えば法律上の制限も違います。方法としては任意整理、自己破産、個人再生があります。
自己破産の場合、借金の返済義務は免れても、自己破産したことにより特定の職業につけないというような制限が発生します。また自宅が競売の対象になり、自宅を手放さなければならないということもあります。費用についても自己破産と任意整理では大きく違いが出ることがあります。「こんなはすではなかった」ということにならないように、また今後の生活の立て直しのためにどうしたら良いかを考えながら手続きを進めて行きます。



[債権者への受任通知]
金融業者の取り立て禁止

 任意整理、自己破産申立、個人再生申立いずれの場合も、受任すれば、弁護士が直ちに金融業者に受任通知を出します。弁護士が受任通知を出すと、金融業者は一切の取り立てが出来なくなり、請求は停止します。家族や親戚への取り立ても同様に出来なくなります。

法テラスの利用

 弁護士費用(着手金)は受任契約の時点で支払うのが原則ですが、費用の調達が難しいときには法テラスを利用する方法もあります。当事務所に法律相談に来られた場合には法テラスへの手続きはこちらで行います。この場合は法テラスへ分割で返済していただくことになります。



[任意整理]

 任意整理は借入金の支払いが困難になったときに、自己破産や個人再生といった裁判所に対する申立てではなく、金融機関と交渉して任意の支払方法を定めるものです。
 任意整理では利息制限法に定める利息を超過した毎月の支払分はすべて元金に充当しますので、超過利息の支払い分だけ元金が減少することになります。減少した元金については、利息をつけずに元金のみを3年から5年で分割返済しますので、借金を完済させることが出来ます。



[過払請求]

 超過利息を元金に充当していくと、元金がゼロになるばかりでなく超過利息分は払いすぎている(過払い)という問題が生じます。長年高い金利で返済を続けた方や借りたり返したりを繰り返していた方、借りていた金額が大きい方の場合過払金が生じている可能性が高いです。この場合には、債権者である金融機関に対して過払利息分の返還を請求することになります。金融機関は任意の返還に応じる場合がほとんどですが、返還額に不服があれば過払利息の返還請求の裁判を提起することもあります。この場合には過払金を元金として、これに利息をつけて返還請求します。但し、返還請求は10年間までしか遡れませんので注意が必要です。



[自己破産申立]
財産がない場合

 自己破産の申立てを行った場合、破産宣告が下りれば債務者の借金はすべてなくなります。これが自己破産の最大のメリットです。不動産などの財産がない場合には比較的早く破産手続きが終了します(同時廃止)。破産決定が下りたときには破産者となり、会社の役員になれないとか、特定の職業-主に金銭管理に関わる職業につけないといった制限がありますが、それ以外の場合には特に制限を受けることはありません。戸籍に載ったり、選挙権がなくなることもありません。但し、破産しただけでは債務がなくなるわけではありません。免責になって初めて法律上の債務がなくなりますので、自己破産申立てに併せて免責の申立てを行います。免責になると破産宣告申立ての前の状態に戻り、免責以降は破産者ではなくなりますので、破産にともなう制限もなくなります。

財産がある場合

 それに対し債務者に一定の財産がある場合は、破産管財人が選任され、財産は売却され債権者に配当されます。破産管財人を選任すると、破産管財費用を裁判所に納める必要があります。
不動産を所有していても住宅ローンの方が大きい場合(オーバーローンの場合)には、資産よりも負債の方が大きいとして破産管財人を選任しないで、破産手続きを終了させることも可能です。但し不動産は競売の対象となります。



[個人再生申立]

 支払不能の状態にあっても、破産したくない場合には個人再生という方法を取ることが出来ます。個人再生の場合も受任通知により取り立ては禁止されます。
 個人再生には給与所得再生と小規模事業再生という方法があります。
 小規模事業再生では、支払い利息を利息制限法に引き直したうえで、元金についても多くは8割近くをカットし、その残金を原則3年間で分割返済します。個人再生が認められるには裁判所の認可が必要です。
 個人再生を行うメリットは、自己破産申立てでは住宅ローンを抱えていると競売等で自宅を失ってしまうことになりますが、個人再生が許可されると自宅を失わずに済むということです。ただしこの場合、いくつかの条件を満たす必要があります(住宅資金条項)。
 自己破産の場合に免責が許可にならないような事例でも個人再生をすることによって分割返済し、生活の立て直すことが出来ます。

刑事事件

■逮捕されたときの相談

 身近な人が突然逮捕されると本人だけでなく、家族や職場にも大きな影響を与えます。
どこに相談すると良いのか、どうしたら本人と話せるのか、なぜそうなったのか全く分からない-ほとんどの方がそのような気持ちになります。相談に来られる方は次の様なことで悩んでおられます。

・夫が警察に逮捕されたのですが、今後どうなるのですか。いつまで逮捕された状態が続くのですか?
・面会に行きたいのですが家族は面会禁止になっています。どうすれば連絡が取れますか?
・逮捕されたことで会社を首になるかも知れないのですが、何か手立てはありませんか?
・被害者と示談出来ますか。また示談金はどれくらい払えば良いのですか?
・本人が本当はやっていないのに、認めてしまったと言っています。今からではどうにもなりませんか?



■逮捕された場合の弁護士の役割

接見

 逮捕されると72時間は家族でも面会が出来ません。ただし弁護士はこの期間でも面会が可能です。またその後、家族が接見禁止になっても弁護士は面会可能です。
 家族が面会出来る場合でも、平日に限られ、面会時間についても午後4時までに限られ、一回の面会時間についても制限があります。面会の時にも警察官の立ち会いがつきます。それに対して弁護士が面会する場合は平日に限らず土、日や祭日でも面会できますし、面会は時間の制限もなく、夜でも本人との面会が可能です。警察官の立ち会いなしで面会が出来ますので、面会のときの会話の内容が警察に知られたりすることはありません。

面会における指導助言

 これまで逮捕されたことがない人にとっては、精神的な動揺も大きく、家族や会社のことなど心配で、不安で一杯だというのがほとんどです。このような場面で、家族とは面会できなくても、弁護士が本人と面会して様子を伝えたり、気がかりなことを伝言出来ることで、かなりの不安を解消できます。
 逮捕やその後の勾留には時間的な制限があり、いつまでも続くものではありません。今後の取り調べがどのように進んでいくのか、いつまで取り調べが続くのかを本人に説明することが可能です。逮捕されると身柄を拘束された状態で、終日取調べが行われます。そのような状態では、本人はつい弱気になったり、警察の言っている事に合わせて供述をしがちです。事実と違うことを認めてしまわないようにアドバイスすることが出来ます。

家族への連絡や報告

 取調中の本人の様子について面会するごとに家族に報告します。また逆に緊急に家族から本人に伝えることも出来ます。逆に本人から家族に伝えたいことについて、面会後、直ちに家族に連絡を取ることが出来ます。勤務先への連絡や勤務先からの伝言などについても迅速に対応出来ますので、仕事への影響を最小限に抑えることが出来ます。

示談交渉

 事件によっては弁護士が被害者と連絡を取り示談交渉を行うことにより、示談が成立すれば告訴を取り下げてもらえることがあります。たとえば強姦罪は親告罪と言って、告訴を取り下げれば犯罪は成立せず、釈放になります。
 また示談が成立したことで、罰金になることがあります。執行猶予中であるにも関わらず執行猶予期間中に再度事件を起こした場合には、起訴されれば実刑判決を受ける可能性が高く、罰金の場合とは雲泥の差があります。
示談交渉における被害者の連絡先については、一般的に弁護士には教えますが家族には教えてもらえませんので、起訴前の状態での示談交渉は弁護士に依頼しないと実際には困難です。



成人の被疑者、被告人の私選弁護人、裁判員制度

逮捕後起訴されるまで

 逮捕された後10日間の勾留期間(延長されるとさらに10日間)があり、身柄が拘束されます。その間、接見禁止になると原則弁護人以外は面会は出来ません。差し入れは可能ですが、手紙のやりとりなども禁止されます。また取調べが集中的に行われますので、被疑者本人の言い分を聞き、適切に取り調べに対処するために弁護人の選任の必要があります。
 逮捕後、最長23日目には本人を起訴するかどうかについて、検察官が判断します。
 起訴されると裁判を受けなければなりませんが、不起訴の場合には身柄は釈放となります。また不起訴になれば前科にはなりません。起訴前に弁護人がつくことの最大の利点は、意に反する供述調書を取られて、起訴後の裁判で不利な判決を受けることを防げることです。

起訴後と裁判

 起訴されると公判手続きが開始され、公開法廷で刑事裁判を受けることになります。
殺人罪などの重大犯罪については裁判員裁判が行われます。
弁護士は被告人の利益のために弁護活動を行い、最終的には裁判官が判決を出します。
 事実を認めるか否かで否認事件と自白事件に分かれます。否認事件では弁護人は検察官が出した供述調書等について認めないという意見を述べます。また否認事件の場合には検察官が用意した証人についての反対尋問を行い、検察官の主張が間違いであることを証明していきます。自白事件では主に情状を争うことになります。親族や勤務先の代表者に証人になってもらい、今後して本人を責任をもってしていくことを証言してもらいます。また本人が十分反省していることを述べ、刑が減軽になるように努めます。



■被害者との示談交渉

示談の意味

 逮捕された時の弁護士の役割のところで述べたように、起訴前の示談交渉はとても大切です。仮に起訴されても示談の成立は判決の量刑に影響を与えます。示談が成立したことは執行猶予がつく大きな理由になりますし、執行猶予が付かなくても刑の減刑の理由となります。また被害者との示談が成立していれば保釈の許可が下りやすくなります。こういった意味でも被害者との示談は重要です。

在宅事件と示談

 逮捕されない在宅事件であっても、示談が成立することで不起訴となることがあります。また不起訴にならなくても示談が成立したことで罰金で済むことがあります。
起訴されて裁判になった場合でも示談が成立したことで執行猶予になれば服役しなくて済みます。



■犯罪被害者の被害者参加の申し出

 一定の犯罪については犯罪被害者には被害者参加制度が認められています。
犯罪被害者参加制度により、犯罪被害者は公判で情状について証人尋問や被告人に対する質問を行う事が出来ます。また情状についての意見陳述を行ったり、さらに刑罰について何年が相当かという求刑についてまで意見陳述が出来ます。弁護士は犯罪被害者の代理人としてこれらの尋問や意見を述べることが出来ます。また刑事裁判が始まる前の段階でも、被害者の代理人として示談交渉にあたることが出来ます。



■刑事告訴・告発

 ある特定の人物が犯罪を起こした疑いがあるときに、捜査機関に対して捜査を行い刑罰権の発動を求める端緒となる行為です。直接の被害者が行うのが告訴であり、被害者以外の第三者が行うのが告発です。告訴・告発は本人が行いますが、弁護士か代理人として告訴・告発をすることもできます。



■少年事件の付添人活動

少年事件に関する相談

 少年事件の相談としては次の様なものがあります。
・高校生の子どもが逮捕されました。少年事件の場合は少年法で守られていると聞きましたが、成人の場合とはどのように違うのですか?
・被害者との示談や被害弁償をした方が良いですか?
・被害者に謝罪文を送りたいのですがどのようにして送るのですか?
・少年審判はどのようにして行われるのですか?

少年事件における弁護士の役割
少年事件の内容

 14才以上20才未満の少年(犯罪少年)が刑事事件を起こした場合未成年でも逮捕されることがあります。その後、家庭裁判所から観護措置決定が出ると少年鑑別所に最大4週間収容されます。
弁護士は逮捕の段階では「弁護人」として、観護措置決定後は「付添人」として活動します。
 

付添人としての活動

 少年法は成人の場合のように刑罰を科すことで本人を懲らしめるのではなく、少年の保護育成のために教育し、矯正することを目的としています。そのため弁護士の付添人活動も、少年に対する保護監督のための環境を整備し、少年を更生させることが主になります。
 

鑑別所での面会

  少年と面会して、事件の内容だけでなく、少年を取り巻く環境やこれまでの生活歴、学校には行っていたのか、仕事先での勤務態度等の話を聞きます。また家族の状況、親や兄弟との関係、交遊関係、生活態度等についても話を聞きます。これらの話をもとに家庭裁判所に意見書を出します。
  示談や被害弁償については、保護者と相談して決めますが、示談や被害弁償はできるだけた方が良いでしょう。謝罪文についても少年が自分で考えて作成できるようアドバイスします。また鑑別所での行動や日々の態度も審判の判断資料になりますので、鑑別所での生活もまじめに送るように話をしていきます。
 

保護者との面談や学校・勤務先への連絡

  少年の保護者と会って、少年の生活状況や事件を起こすまでの言動・行動について事情を聞きます。また保護者が監督できる環境が整っているのかが、在宅処分にするのか、少年院などの施設収容にするのかの判断材料の一つになるので、この点について保護者と相談しながらすすめていきます。少年が学生の場合には、学校に復学の可能性があるのかを確認し、できるかぎり少年が復学できるように働きかけます。少年が働いていた場合には、勤務先に今後も再雇用が可能かどうか確認をします。事件後勤務先を解雇されたり、学校を退学処分となり、あらためて勤務先を探すような場合には、少年を本当に受け入れ可能であるのか調査を行うなどして、少年の社会復帰の手助けをします。
 

調査官や裁判官との事前カンファランス

  最近は審判前に事前カンファランスを入れて、付添人が調査官や裁判官と面談を行えるようになりました。調査官の調査の状況を処分前に聞き取ることで、今後、審判にむけて何をすれば良いのか知る機会になりますし、少年本人の希望や保護者の意向をもとにに付添人の意見を述べることができます。
 

少年審判における立会い

 少年審判には付添人として審判に立会います。少年や保護者から少年の今後の更正の可能性を述べてもらい、在宅の方向での処分を求めていきます。

家庭裁判所の審判による処分

 処分には(ⅰ)保護観察(ⅱ)児童自立支援施設送致(ⅲ)少年院送致(ⅳ)検察官送致があります。
 また審判の結果、不処分とすることもあります。
 審判の結果に不服であれば抗告申立てをすることもできます。

以上